元ひとつだった魂が
陰陽に分かれ
そして出会い、
大輪の花を咲かせる
万物は、わたし。
この「The Eden」は、2023年2月の特設展示「Re-Born Jomon 〜The Eden〜」の代表作となりました
初の大型作品として発表し、期間中に沢山の嫁ぎ先が決まりました・・本当にありがとうございます。
(対となる小作品に「マナカの星」255×255 があります)
ペルシャ絨毯をイメージしています
ふとした機会にある方から「私のイメージとしてペルシャが思い浮かんだ」と言って頂いたことから着想を得ています
元はひとつだった魂が、陰陽に分かれ
この世に男性と女性として生を受けています
両側でそれぞれ小さな花を咲かせる蔦は男性と女性を表し、
その足元には、それぞれの原点である「根の国」が張り巡らされています。
「根」の部分は「見えない世界」「自分の見たくない部分」「潜在意識」「本当の自分を形作るもの」。
そんなネガティブなイメージがある「根」の部分ですが、私はどうしてもここが表現したかった。
地上で花を咲かせるためには根っこが必要で、
この部分に光をあて、恐れず向き合わない限り
本当の自分は見えてこない。本当の自分にはなれない
自分の中の男性性と女性性、陰陽の統合はおこらない
そして「本当の対となる相手」にも、出会えないからです。
自分の中の陰陽が統合し、元一つの魂だった男性と女性が出会うことで
天上で大輪の花が咲く。
それは子供という生命はもちろん、一つのプロジェクトであったりコミュニティであったり、芸術作品であったり・・・
本来の対となる、男女の統合の生命エネルギーが産み出す共同創造というのは、とんでもなくパワフルで美しく、かけがえのない、尊いもの。これを「愛」と表現するのだと思うのです
その「人間本来の力の源」とも言える大切なことが、今はちょっと忘れ去られているというか、ねじ曲げられ、隠されていると、私は感じています
縄文の人たちは、私たち現代人が忘れてしまったそんな大切なことを、知っていたのではないかと思うのです。
この作品を産み出す時、私は「もう一人の自分」と共同創造をしている感覚でした
「細かいことが苦手」な私にしては細かい創作。かと言って自分の持ち味を失うわけでもなく
そして線一本一本に愛情がこもり、パズルのピースがどんどんはまるように完成したのです
外側の枠は「水の循環」を表現しています
雷雲から雨が降り(土器から水が溢れています)海になって
水蒸気になって上昇し(石棒は上向きの男性性の力)
また、雲になって雨を降らせる。終わりのない円環。
波のストローク、からまろうとする蔦の曲線、一対のまぐわう蛇の曲線、土偶の体に刻まれた曲線、DNAの螺旋。
すべてが合致するようで、私はこの遮光器土偶になったような、大地母神であることを思い出すような・・
「万物とわたしはおなじもの」、という感覚のなかで線を描いていました
これは「もう一人の自分」の存在がいなければ、得られなかったものでした
それはこの作品を構築する力をくれた存在であり、作品中で表わされた直線なのでしょう。
男性は直線、女性は曲線。陰陽太極図の中に描いた、曲線と直線から成るDNAの螺旋構造。
荒ぶる大地母神を理路整然とまとめてくれる、外枠の表現はまるで激流を堰き止めるダムのような線だと思いました・・笑
「曼荼羅のようね」と言っていただいたのですが、まさに「今の私の全てがここに入った」のです
そんな感覚を、多くの皆さんが受け取ってくださいました
SNSに上げた瞬間からお問い合わせがあり・・「私の作品解説を聞いた方々が泣いてしまう」という現象が起きてしまい(説明が泣くほど暑苦しかったせいかもしれません笑)、「ずっと見ていられる・・」と言ってくださる方々の横顔が、私の宝物となりました。
今回、この作品を産み出すことができて本当に嬉しかったです
形は違えど、宿し、産み出す私たち。
それができるのは、男性性と女性性の生命エネルギーの融合が成せる美しい「錬金」だと信じています。