今日は展示会もいよいよ2週間前となり、画材店や袋物を扱う問屋街など
こまごまとしたものを買いに行こうと電車に乗りました
でも「今日はやっぱりご挨拶へ行こう」と思いたち
行き先をギャラリー方面に変更しました
展示会の前後はいつも、その土地にご挨拶をするのですが
今回はギャラリーの4方にある神社に参拝しようと思っていました
なんとなく、なのですが
渋谷区神宮前という土地にあるこの古民家ギャラリーは
賑やかでお洒落な「ザ・表参道、ザ・青山」という雰囲気から1本入っただけなのに
周囲からぽっかりと取り残されたような雰囲気で、家主から続くご近所付き合いもあることを知り…
この下を通る古いエネルギーのようなものを感じたからです。
「なんとなくここかな」と思いながら周辺の神社やお稲荷さんに参拝して回る道すがら、
ある地味なお店の前のワゴンに目が止まりました。
全然スカーフなど買うつもりはなかったのですが、
あまりの安さに半信半疑でワゴンをあさっていると年配の女性がのっそりという感じで扉を開け、
気がつけば私は店内に2時間弱居座り、ワゴンのシルクスカーフ1枚のつもりが
ストールを4枚買っていました笑
じつは「展示会の服どうしようか…」と考えていたところだったのです。
店主はこの青山でシルクのお店を35年続けてきたそうで、
「どうしてこんなに安いんですか」と聞くと独自のルートがあること、そして
正月以外ほぼ休みなく店を開け続け頑張っているからだと、彼女は言いました
お世辞にも洒落た店ではなく、店主もこざっぱりとした様子とは言えない(すみません)。
ここお客来るのかな…そんな店でした(私がいる間、ちらっとのぞいたご婦人が2人ほど)
個性的な服が多かったですが、古着を楽しんでいた時のチャレンジ精神が刺激され…
私にとっては「どうしてこの店繁盛しないの?」と思うくらい、掘り出し物いっぱいのワクワクなお店でした。
「この近くで縄文とお花をテーマに展示会をやるんです」
「へぇ〜…(なにそれ感満載で)そんなところに古民家なんてあったかね…お花ならこんな感じがいいんじゃない?」
「うわ〜!いいですね!!(興奮)」
「そうでしょ?せっかく私が勧めてもみんな地味なのばかり選んでいくのよ…」
私が派手なアイテムを嬉々として選ぶので、「そうやって喜んでもらえる人のためにやってる」と
店主も心なしか私と一緒に喜んでくださっているように見えました。
最後に名刺を頂いたので私もお渡しすると
「ちゑさんと言うのね…あら、私の母と同じ名前だわ、この『ゑ』も一緒笑」
そんなことあるんだな…というか、最近はこういうことが多くて必然、という感じが面白いです
私は「この店の密かな常連になろう」と心に誓いつつ、
次行ったらそこから無くなっていても妙に納得するような、そんな雰囲気のお店でした笑
この場所でも、「古い女性」にご縁がある。
私が個展をやらせていただく場所には「古い女性」がいるように思います
浅草の画廊でお世話になっていた時も老舗蕎麦屋の名物女将がいて「彼女に挨拶をしておいで」と言われ
今回のギャラリーにも、ご近所のコミュニティに「なんでも知っている」ようなご年配の女性がいらっしゃいます
どこかの本に「古代はグランドマザーがコミュニティの中心だった」と書いてあったような…
最近自分の祖母がちらちらと思い起こされるのも、あながち無関係ではないのかもしれません
ギャラリー近くのガレットのお店。「ボンジョルノ〜」って言われます
選挙の看板に生活という営みを感じます
「とぶらふ」とは「弔(とむら)う」の古語です
「訪ふ」とも書き、訪れる、尋ねる、という意味もあります
今回改めて、表参道、青山と呼ばれる「渋谷区神宮前」という土地を回ってみると
若々しく華やかで活気のある経済循環のいしずえには、
ここに昔から住んでいた人、商売を営んできた人たちがいる。
当たり前ですがそんなことに気がつかせてもらいました
渋谷川の川筋はお洒落な店が軒を連ねる遊歩道になっていて、
ここ一帯に水の流れがあったことも、今は蛇行した道が面影を残すのみ。
古民家ギャラリーに隣接した土地も新しい家が建つのだそうで、
工事を控え、周辺は草ぼうぼうの空き地になっています
経済が回れば回るほどに、
生まれ変わっていくほどに、
忘れそうになるけれど忘れてはいけないもの
その土地と先人に、感謝と敬意を。
古木が倒れても、新しい新芽は思いを受け継いでいるということ
知るということ、忘れないということ。
それはたぶん、伝えていく前に必要なこと。
そんな弔い、鎮魂の繰り返しを
私はこれからもやっていくような気がしています
6/7~6/9の展示会、心よりお待ちしております。
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